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      海道記 a

       學(xué)習(xí)abc吧 2015-01-05

      海道記

      一 序

       白川のわたり、中山の麓に、閑素幽のわびびとあり。性器に底なければ、能を拾ひ藝を容るるにたるべからず。身運(yùn)はもとより薄ければ、報(bào)を恥ぢ命をかへりみて恨を重ぬるに處なく、徒に貪泉の蝦蟇となりて、身を浮き草によせて力なきねをのみ泣き、空しく窮谷の埋れ木として、意の樹、花たえたり。惜しからぬ命のさすがに惜しければ、投身のは胸の底に淺し。存しがひなき心は、なまじひに存したれば、斷腸の棘は愁ひの中にしげる。春はわらびを折りて、臨める飢を支ふ、伯夷が賢にあらざれば人もとがめず。秋は木の實(shí)を拾ひて貧しき病をいやす、華氏が藥もいまだ飢ゑたるをば治せず。九夏三伏の汗はのごひて苦しからず、手の中に扇あれば涼を招くにいと安し。玄冬素雪の嵐は凌ぐにあたはず、身の上に衣無(wú)ければ寒を防ぐにすべなし。窓の螢も集めざれば目は暗きが如し、何を見てか志を養(yǎng)はん。樽の酒も酌むことを得ざれば心は常にさめたり、如何か憂ひを忘れんや。

       しかるあひだ、逝く水はやく流れて生涯は崩れなんとす、とどめんとすれどもとどまらず、五旬の齡の流車、坂にくだる。朝に馳せ暮に馳す、月日の廻りの駿駒、隙を過(guò)ぐ。鏡の影に向ひゐて知らぬ翁に恥ぢ、けぬきを取りて白絲にあはれむ。これによりて頭上には、頻りにおどろかす老を告ぐる鶴、鬢のほとりには、早く落ちぬ霜を厭ふ華。鶴に驚き霜を厭ふ志たちまちにもよほして、僧を?qū)Wび佛に歸する念やうやくに起る。名利は身に棄てつ、稠林に花ちりなば覺樹の木の實(shí)は熟するを期すべし。薜羅は肩に結(jié)べり、法衣、色染みなば衣裏の珠は悟ることを得つべし。旦暮の露の身は、山の蔭、草おくところあれども、朝の霞は、望たえて天を仰ぐに空し。世を厭ふ道は貧しき道より出でたれども、佛を念ずる思ひは遺怠とおこたる。四聖の無(wú)爲(wèi)を契りしも一聖なほ頭陀の路にとどまりき。ひとへに己が有爲(wèi)を厭ふ、貧しき己、いよいよ坐禪の窓にいそがはし。然して曾 せきが酒も人を醉せて由なし、子牢が顆は心に貯ひて身を樂(lè)とせり。鵞眼なけれども天命の道に杖つきて歩をたすく、 しやう牙かけたれども地恩の水に口すすぎて渇をうるほす??崭挂槐沃唷|ゑてすすれば餘りの味あり。薄紙百綴の衿、寒に著たれば肌を溫むるに足れり。檜の木笠をかぶりて裝ひとす、出家の身。藁履を踏んで駕とす、遁世の道。

       そもそも相模の國(guó)鎌倉(cāng)郡は下界の麁澁苑、天朝の築鹽州なり。武將の林をなす、萬(wàn)榮の花よろづにひらけ、勇士の道に榮ゆ、百歩の柳ももたびあたる。弓は曉の月に似たり、一張そばだちて胸を照し、劔は秋の霜の如し、三尺たれて腰すずし。勝鬪の一陣には爪を楯にして寇をここに伏す。猛豪の三兵は手にしたがへて互に雄稱す。干戈、威、いつくしくして梟鳥敢へてかけらず、誅戮、罪、きびしくして虎狼ながく絶えたり。この故に、一朝の春の梢は東風(fēng)にあふがれて惠をまし、四海の潮の音は東日に照されて波をすませり。貴賤臣妾の往還する多くの驛の道、隣をしめ、朝儀國(guó)務(wù)の理亂は、萬(wàn)緒の機(jī)、かたかたに織りなす。羊質(zhì)、耳のほかに聞きをなして多歳をわたれり、舌の端に唇をして幾日をか送るや。心船いつはりの爲(wèi)に漕ぐ、いまだ海道萬(wàn)里の波に棹ささず。意馬あらましに馳す、關(guān)山千程の雲(yún)に鞭うたず。今すなはち芳縁に乘りて俄かに獨(dú)身の遠(yuǎn)行を企つ。

       貞應(yīng)二年卯月の上旬、五更に都を出でて一朝に旅に立つ。昨日は住みわびて厭ひし宿なれど、今日はたちわかるれば、なごりをしくおぼえて暫くやすらへども、鐘の聲、明けゆけば、あへずして出でぬ。

       粟田口の堀道を南にかいたをりて、逢坂山にかかれば九重の寶塔は北の方に隱れぬ。松坂を下りに松をともして過(guò)ぎゆけば、四宮河原のわたりは、しののめに通りぬ。小關(guān)を打越えて大津の浦をさして行く。關(guān)寺の門を左に顧みれば、金剛力士忿怒のいかり眼を驚かし、勢(shì)多の橋を東に渡れば、白浪みなぎり落ちて、 [1]べんの流れ、身をひやす。湖上に船を望めば、心、興に乘り、野庭に馬をいさめて、手、鞭をかなず。

       やうやくに行くほどに都も遙かに隔りぬ。前途、林幽かなり、わづかに薺梢に見る。後路、山さかりて、ただ白雲(yún)跡をうづむ。既にして斜陽(yáng)影くれて暗雨しきりに笠にかかる。袖をしぼりて初めて旅のあはれを知りぬ。その間、山館に臥して露より出で、曉の望、蕭蕭たり。水澤に宿して風(fēng)より立つ、夕の懷、悠々たり。松あり又松あり、煙は高卑千巖の道を埋み、水に臨みて又水に臨む、波は淺深長(zhǎng)堤の汀に疊む。濱名の橋の橋のもとには、思ふ事を誓ひて志をのべ、清見が關(guān)の關(guān)屋には、飽かぬなごりをとどめて歩みを運(yùn)ぶ。富士の高峯に煙を望めば、臘雪宿して雲(yún)ひとり咽び、宇都の山路に蔦をたづぬれば、昔のあと夢(mèng)にして、風(fēng)の音おどろかす。木々の下には、下ごとに翠帳をたれて行客の苦みをいこへ、夜々の泊には泊ごとに菰枕を結(jié)びて旅人の眠りをたすく。行々として重ねて行々たり、山水野塘の興、壯觀をまし、暦々として更に暦々たり、海村林邑の感、いやめづらかなり。

       この道は、もし四道の間に逸興のすぐれたるか、はた又、孤身が斗藪の今の旅始なればか。過(guò)ぎ馴れたる舊客なほ眺めをなほざりにせず、況んや一往の新賓なれば感思おさへがたし。感思の中に愁傷の交はることあり、母儀の老いて又幼き、都にとどめて不定の再覲を契りおく。無(wú)狀かな、愚子が體たらく、浮雲(yún)に身を乘せて旅の天に迷ひ、朝露を命にて風(fēng)のたよりにただよふ。道を同じうする者は、みな我を知らざる客なり、語(yǔ)を親眤に契りて、いづちか別れなんとする。長(zhǎng)途につかれて十日餘り、窮屈しきりに身を責(zé)む。湯井の濱に至りて一時(shí)半偃息、しばらく心をゆるぶ。時(shí)に萍實(shí)西に沈む、舊里を忍びて後會(huì)を期し、桂華東に開く、外郷に向つて中懷をなやます。よつて三十一字をつづりて千思萬(wàn)憶、旅の志をのべつ。これはこれ、文をもつてさきとせず、歌をもつてもととせず、ただ境にひかれて物のあはれを記するのみなり。外見の處にそのあざけりをゆるせ。




      二 京より大岳

       四月四日、曉、都を出づ。朝より雨にあひて勢(shì)田の橋のこなたに暫くとどまりて、あさましくて行く。今日明日とも知らぬ老人を獨(dú)り思ひおきてゆけば、

      思ひおく人にあふみの契あらば
      今かへりこん勢(shì)田の長(zhǎng)はし

       橋のわたりより雨まさりて、野徑の道芝、露ことに深し。八町畷をすぐれば行人互に身をそばめ、一邑の里を通れば亭犬しきりに形を吠ゆ。今日しも習(xí)はぬ旅の空に雨さへいたく降りて、いつしか心のうちもかきくもるやうにおぼえて、

      旅ごろもまだ著もなれぬ袖の上に
      ぬるべきものと雨はふりきぬ

       田中うちすぎ民宅うちすぎて遙々とゆけば、農(nóng)夫ならび立ちて荒田を打つ聲、行雁の鳴きわたるが如し。(田を打つ時(shí)はならび立ちて同じく鋤をあげて歌をうたひてうつなり)卑女うちむれて前田にゑぐ摘む、思はぬしづくに袖をぬらす。そともの小川には河添柳に風(fēng)たちて鷺の蓑毛うちなびき、竹の編戸の垣根には卯の花さきすさみて山ほととぎす忍びなく。かくて三上の嶽を眺めて八洲川を渡る。

      いかにしてすむ八洲川の水ならむ
      世わたるばかり苦しきやある

      若椙といふ處をすぎて橫田山を通る。この山は白楡の影にあらはれて緑林の人をしきる處ときこゆれば、益なくおぼえていそぎ過(guò)ぐ。

      はやすぎよ人の心も橫田山
      みどりの林かげにかくれて

       夜景に大岳といふ處に泊る。年ごろうちかなはぬ有樣に思ひとりて髮をおろしたれば、いつしかかかる旅寢するもあはれにて、かの廬山草庵の夜雨は、情ある事を樂(lè)天の詩(shī)に感じ、この大岳の柴の夜雨には、心なき事を貧道が歌に恥づ。

      墨染のころもかたしき旅寢しつ

      いつしか家を出づるしるしに




      三 大岳より鈴鹿

       五日、大岳を立ちて遙かに行けば、內(nèi)の白川、外の白川といふ處をすぎて鈴鹿山にかかる。山中よりは伊勢(shì)の國(guó)に移りぬ。重山、雲(yún)さかしく、越ゆれば即ち千丈の屏風(fēng)いよいよしげく、峯には松風(fēng)かたかたに調(diào)べて康が姿しきりに舞ひ、林には葉花まれに殘りて蜀人の錦わづかに散りぼふ。これのみに非ず、山姫の夏の衣は梢の翠に染めかけ、樹神のこだまは谷の鳥に答ふ。羊膓、坂きびしくして、駑馬、石に足なへぐ。すべてこの山は、一山中に數(shù)山をへだてて、千巖の嶺、眼にさはり、一河の流れ、百瀬に流れて、衆(zhòng)客の歩み、足をひたせり。山かさなり、江かさなれば、當(dāng)路にありといへども、萬(wàn)里の行程は半ばにも至らず。

      鈴鹿川ふるさと遠(yuǎn)く行く水に
      ぬれていくせの浪をわたらん

       薄暮に鈴鹿の關(guān)屋にとまる。上弦の月、峯にかかり、虛弓いたづらに歸雁の路に殘る。下流の水、谷に落つ、奔箭すみやかにして虎に似たる石にあたる。ここに旅驛やうやくに夜をかさねて、枕を宿縁の草に結(jié)び、雲(yún)衣、曉さむし、蓆を巖根の苔にしく。松は君子の徳を垂れて天の如く覆へども、竹は吾友の號(hào)あれば陰に臥して夜を明かす。

      鈴鹿山さしてふるさと思ひ寢の
      夢(mèng)路のすゑに都をぞとふ




      四 鈴鹿より市腋

       六日、孟嘗君が五馬の客にあらざれば、函谷の [2] の後、夜を明かして立つ。山中なかば過(guò)ぎてやうやう下れば、巖扉削りなせり、仁者のすみか靜かにして樂(lè)しみ、澗水掘り流す、知者のみぎり動(dòng)けども豐かなり。かくて邑里に出でて田中の畔ほ通れば、左に見、右に見る、立田眇々たり。或は耕し、或は耕さず、水苗處々。しかのみならず、池溝かたかたに掘りて、水をおのがひきひきに論じ、畦畝あぜを並べて苗を我がとりどりに植ゑたり。民煙の煙は父君心體の恩火よりにぎはひ、王道の徳は子民稼稷の土器より開けたり。水龍はもとより稻穀を護(hù)りて夏の雨を降し、電光はかねてより九穗を孕みて三秋を待つ。東作の業(yè)、力を勵(lì)ます、西收の稅、たのもしく見ゆ。劉寛が刑を忘れたり、鞭さだめて螢となりぬらん。

      苗代の水にうつりて見ゆるかな
      稻葉の雲(yún)の秋のおもかげ

       日かずふるままに故郷も戀しく、たちかへり過(guò)ぎぬる跡を見れば、何れか山、何れか水、雲(yún)よりほかに見ゆるものなし。朝に出で暮に入る、東西を日の光に辨ふといへども、暮るれば泊り明くれば立つ、晝夜を露命に論ぜんことは離し。おのづから歩を拾ひて萬(wàn)歩に運(yùn)べば、遠(yuǎn)近かぎりありて往還期しつべし。ただ憐れむ、遙かに都鄙の中路に出でて前後の念に勞することを。

      ふるさとを山のいくへに隔てきぬ
      都の空をうづむしらくも

       夜陰に市腋といふ處に泊る。前を見おろせば、海さし入りて、河伯の民、潮にやしなはれ、後に見あぐれば、峯そばだちて、山祇の髮、風(fēng)にくしけづる。磐をうつ夜の浪は千光の火を出だし(入海の潮は夜水をうてば火の散る樣にひかるなり)かがなく [3] むささびは孤枕の夢(mèng)を破る。ここに泊りて心はひとり澄めども、明けゆけば友にひかれて打出でぬ。

      松が根の巖しく磯の浪枕

      ふしなれてもや袖にかからん




      五 市腋より萱津

       七日、市腋をたちて津島のわたりといふ處、舟にて下れば、蘆の若葉、青みわたりて、つながぬ駒も立ちはなれず。菱の浮葉に浪はかくれども、つれなき蛙はさわぐけもなし。取りこす棹のしづく、袖にかかりたれば、

      さして物を思ふとなしにみなれざを
      みなれぬなみに袖はぬらしつ

       渡りはつれば尾張の國(guó)に移りぬ。片岡には朝日の影うちにさして燒野の草に雉なきあがり、小篠が原に駒あれて、なづみし景色、ひきかへて見ゆ。見ればまた園の中に桑あり、桑の下に宅あり、宅には蓬頭なる女、蠶簀に向ひて蠶養(yǎng)をいとなみ、園には潦倒たる翁、鋤をついて農(nóng)業(yè)をつとむ。おほかた禿なる小童部といへども、手を習(xí)ふ心なく、ただ足をひぢりこにする思のみあり。わかくよりして業(yè)をならふ有樣、あはれにこそおぼゆれ。げに父兄の教へ、つつしまざれども、至孝の志、おのづからあひなるものか。

      山田うつ卯月になれば夏引の
      いとけなき子も足ひぢにけり

       幽月、影あらはれて旅店に人定まりぬれば、草の枕をしめて萱津の宿に泊りぬ。




      六 萱津より矢矧

       八日、萱津を立ちて鳴海の浦に來(lái)ぬ。熱田の宮の御前を過(guò)ぐれば、示現(xiàn)利生の垂跡に跪いて一心再拜の謹(jǐn)啓に頭をかたぶく。しばらく鳥居に向ひて阿字門を觀ずれば、權(quán)現(xiàn)のみぎり、ひそかに寂光の都にうつる。それ土木霜舊りて、瓦の上の松風(fēng)、天に吹くといへども、靈驗(yàn)日に新たにして、人中の心華、春の如く開く。しかのみならず、林梢の枝を垂るる、幡蓋を社棟の上におほひ、金玉の檐に [4] たううつ、金色を神殿の面にみがく。かの和光同塵の縁は今日結(jié)びて悅びを含むといへども、八相成道の終りは來(lái)際を限るに期なきことを悲しむ。羊質(zhì)未參の後悔に向前の恨みあり、後參の未來(lái)に向方のたのみなし。願(yuàn)はくは今日の拜參をもつて必ず當(dāng)生の良縁とせむ。路次の便詣なりといふ事なかれ、これ機(jī)感の相葉ふ時(shí)なり。光を交ふるは冥を?qū)Г膜胜辍C魃瘠丹坤幛皮饯蚊摔亟oはば、長(zhǎng)夜の明曉は神にたのみあるものをや。

      光とづる夜の天の戸はやあけよ

      朝日こひしき四方の空みん

       この浦を遙かにすぐれば、朝には入潮にて [5]魚にあらずば泳ぐべからず。晝は潮干瀉、馬を早めて急ぎ行く。酉天は溟海、漫々として雲(yún)水蒼々たり。中上には一葉の舟かすかに飛びて白日の空にのぼる。かの しん男の舟のうちにしてなどや老いにけん、蓬萊島は見ずとも、不死の藥は取らずとも、波上の遊興は、一生の歡會(huì)、これ延年の術(shù)にあらずや。

      老いせじと心を常にやる人ぞ
      名をきく島の藥をもとる

       なほこの干瀉を行けば、小蟹ども、おのが穴々より出でてうごめき遊ぶ。人馬の足にあわてて、橫に跳り平に走りて、おのが穴々へ逃げ入るを見れば、足の下にふまれて死ぬべきは、外なる穴へ走り行きて命を生き、外におそれなきは、足の下なる穴へ走り來(lái)て、ふまれて死にぬ。憐むべし、煩惱は家の犬のみならず、愛著は濱の蟹も深きことを。これを見て、はかなく思ふ我等は、かしこしや否や、生死の家に著する心は、蟹にもまさりて、はかなきものか。

      誰(shuí)もいかにみるめあはれとよる波の
      ただよふ浦にまよひ來(lái)にけり

       山かさなり又かさなりぬ、河へだたりて又へだたりぬ。ひとり舊里を別れて遙かに新路に赴く、知らず、いづれの日か故郷に歸らむ。影を並べて行く道づれは多くあれども、志は必ずしも同じからねば、心に違する氣色は、友をそむくに似たれども、境にふるる物のあはれは、心なき身にもさすがに覺えて、屈原が澤にさまよひて漁夫があざけりに恥ぢ、楊岐が路に泣きて騷人の恨みをいだきけんも、身の譬にはあらねども、逆旅にして友なきあはれには、なにとなく心細(xì)きそらに思ひしられて、

      露の身をおくべき山の陰やなき
      やすき草葉もあらし吹きつつ

       潮見坂といふ處をのぼれば、呉山の長(zhǎng)坂にあらずとも、周行の短息はたへず。歩を通して長(zhǎng)き道にすすめば、宮道、二村の山中を遙かにすぐ。山はいづれも山なれども、優(yōu)興はこの山に秀いで、松はいづれも松なれども、木立はこの松にとどまれり。翠を含む風(fēng)の音に雨を聞くといへども、雲(yún)に舞ふ鶴の聲、晴れの空を知る。松性々々、汝は千年の操あれば面がはりせじ、再征々々、我は一時(shí)の命なれば後見を期し難し。

      今日すぎぬ歸らば又よ二村の
      やまぬなごりの松の下道

       山中に堺川あり、身は河上に浮びてひとり渡れども、影は水底に沈みて我と二人ゆく。

       かくて參河の國(guó)に至りぬ。雉鯉鮒が馬場(chǎng)をすぎて數(shù)里の野原を分くれば、一兩の橋を名づけて八橋といふ。砂に眠る鴛鴦は夏を辭して去り、水に立てる杜若は時(shí)を迎へて開きたり?;à衔簸位ā⑸庾儰椁?jiǎn)Dきぬらし、橋も同じ橋なれども、いくたび造りかへつらむ。相如、世を恨みしは、肥馬に乘りて昇仙に歸り、幽士、身を捨つる、窮鳥に類してこの橋を渡る。八橋よ八橋、くもでに物思ふ人は昔も過(guò)ぎきや、橋柱よ橋柱、おのれも朽ちぬるか、空しく朽ちぬる者は今も又すぎぬ。

      住みわびてすぐる三河の八橋を
      心ゆきてもたちかへらばや

       この橋の上に、思ふことをちかひて打渡れば、何となく心もゆくやうにおぼえて、遙かにすぐれば、宮橋といふ處あり、數(shù)雙の渡し板は朽ちて跡なし、八本の柱は殘りて溝にあり。心中に昔を?qū)い亭?、言の葉に今をしるす。

      宮橋の殘る柱にこととはん
      くちて幾世かたえわたりぬる

       今日の泊をきけば、前程なほ遠(yuǎn)しといへども、暮の空を望めば、斜腳すでに酉金に近づく。日の入るほどに、矢矧の宿におちつきぬ。




      七 矢矧より豐河

       九日、矢矧を立ちて赤坂の宿をすぐ。昔この宿の遊君、花齡、春こまやかに、蘭質(zhì)、秋かうばしき者あり。顏を藩安仁が弟妹にかりて、契を參州吏の妻妾に結(jié)べり。妾は良人に先だちて世を早うし、良人は妾におくれて家を出づ。知らず、利生菩薩の化現(xiàn)して夫を?qū)Г堡毪ⅳ蓼恐椁骸A通大師の發(fā)心して妾を救へるか?;イ紊浦R(shí)、大いなる因縁あり。かの舊室妬が呪咀に、拜舞、惡怨、かへりて善教の禮をなし、異域朝の輕 [6] せんに、鼻酸、持鉢、たちまちに智行の徳に飛ぶ。巨唐に名をあげ、本朝に譽(yù)れをとどむるは、上人實(shí)に貴し。誰(shuí)かいはん、初發(fā)心の道に入るひじりなりとは。これ則ち本來(lái)の佛の、世に出でて、人を化するにあらずや。行く行く昔を談じて、猶々今にあはれむ。

      いかにしてうつつの道を契らまし
      夢(mèng)おどろかす君なかりせば

       かくて本野が原を過(guò)ぐれば、ものうかりし蕨は、春の心おいかはりて人も折らず、手をおのれがほどろと開け、草わかき萩の枝は、秋の色うとけれども、分けゆく駒は鹿毛に見ゆ。時(shí)に日 [7]烏、山にかくれて、月、星躔にあらはなれども、明曉を早めて豐河の宿に泊りぬ。深夜に立出でて見れば、この川は流ひろく、水深くして、まことに豐かなる渡りなり。川の石瀬に落つる波の音は、月の光に越えたり。河邊にすぐる風(fēng)のひびきは、夜の色さやけく、まだ見ぬひなのすみかには、月よりほかに眺めなれたるものなし。

      知る人もなぎさに波のよるのみぞ
      なれにし月のかげはさしくる




      八 豐河より橋本

       十日、豐河を立ちて、野くれ里くれ遙々とすぐる峯野の原といふ處あり。日は野草の露より出でて若木の枝に昇らず。雲(yún)は嶺松の風(fēng)に晴れて山の色、天と一つに染めたり。遠(yuǎn)望の感、心情つなぎがたし。

      山のはは露より底にうづもれて
      野末の草にあくるしののめ

       やがて高志山にかかりぬ。巖角をふみて火敲坂を打過(guò)ぐれば、燒野が原に草の葉萠えいでて、梢の色、煙をあぐ。この林地を遙かに行けば、山中に境川あり。これより遠(yuǎn)江の國(guó)にうつりぬ。

      くだるさへ高しといへばいかがせん
      のぼらん旅のあづまぢの山

       この山の腰を南に下りて遙かに見くだせば、青海浪々として白雲(yún)沈々たり。海上の眺望はここに勝れたり。やうやうに山腳に下れば匿空のごとくに堀り入りたる谷に道あり。身をそばめ聲を呑んで下る。上りはつれば、北は韓康獨(dú)り徃くのすみか、花の色、夏の望に貧しく、南は范蠡扁舟の泊り、浪の聲、夕べの聞きに樂(lè)しむ。鹽屋には薄き煙、靡然となびきて、中天の雲(yún)、片々たり。濱 りうにはあふるる潮涓焉とたまりて、數(shù)條の畝、 せき々たり。浪によるみるめは心なけれども黒白をわきまへ、白洲に立てる鷺は心あれども、毛、いさごにまどへり。優(yōu)興にとどめられて暫く立てれば、この浦の景趣は、ひそかに行人の心をかどふ。

      ゆきすぐる袖も鹽屋の夕煙
      たつとてあまの淋しとや見め

       夕陽(yáng)の景の中に橋本の宿に泊る。鼈海、南にたたへて遊興を漕ぎゆく舟に乘せ、驛路、東に通ぜり、譽(yù)號(hào)を?yàn)I名の橋に聞く。時(shí)に日車西に馳せて牛漢漸くあらはれ、月輪、嶺にめぐりて、兎景、初めて幽かなり。浦に吹く松の風(fēng)は、臥しも習(xí)はぬ旅の身にしみ、巖を洗ふ波の音は、聞きも馴れぬ老の耳にたつ。初更の間は、日ごろの苦しみに七編のこものむしろに夢(mèng)みるといへども、深漏は、今宵の泊の珍らしきに目さめて、數(shù)雙の松の下に立てり。磯もとどろによる波は、水口かまびすしくののしれども、晴れくもりゆく月は、雲(yún)の薄衣をきて忍びやかにすぐ。釣魚の火の影は、波の底に入りて魚の肝をこがし、夜舟の棹の歌は、枕の上に音づれて客の寢ざめにともなふ。夜もすでに明けゆけば、星の光は隱れて、宿立つ人の袖は、よそなる音に呼ばはれて、しらぬ友にうちつれて出づ。暫く舊橋に立ちとどまりて、珍らしき渡りを興ずれば、橋の下にさしのぼる潮は、歸らぬ水をかへして上さまに流れ、松を拂ふ風(fēng)の足は、頭を越えてとがむれども聞かず。大方、羇中の贈(zèng)り物はここに儲(chǔ)けたり。

      橋本やあかぬわたりと聞きしにも
      なほ過(guò)ぎかねつ松のむらだち
      浪枕よるしく宿のなごりには
      のこして立ちぬ松の浦風(fēng)




      九 橋本より池田

       十一日、橋本を立ちて、橋のわたりより行く行く顧りみれば、跡に白き波の聲は、過(guò)ぐるなごりを呼びかへし、路に青き松の枝は、歩むもすそを引きとどむ。北にかへりみれば、湖上遙かに浮んで、波の皺、水の顏に老いたり。西に望めば、潮海ひろくはびこりて、雲(yún)の浮橋、風(fēng)のたくみに渡す。水上の景色は、彼もこれも同じけれども、湖海の淡鹹は、氣味これ異なり。 みぞの上には、波に羽うつみさご、涼しき水をあふぎ、船の中には、唐櫓おす聲、秋の雁をながめて夏のそらに行くもあり。興望は旅中にあれば、感腸しきりにめぐりて、思ひ、やみがたし。

       この處を打過(guò)ぎて濱松の浦に來(lái)ぬ。長(zhǎng)汀、砂ふかくして、行けば歸るが如し。萬(wàn)株、松しげくして、風(fēng)波、聲を爭(zhēng)ふ。見れば又、洲島、潮を呑む、呑めば即ち曲浦の曲より吐き出し、濱 、珠をゆる、ゆれば則ち疊巖の疊に碎き敷く。優(yōu)なるかな、體なるかな、忘れがたく忍びがたし。命あらば、いかでか再び來(lái)りてこの浦を見む。

      波は濱松には風(fēng)のうらうへに

      立ちとまれとや吹きしきるらん

       林の風(fēng)に送られて廻澤の宿をすぎ、遙かに見わたして行けば、岡邊には森あり、野原には津あり。岸に立てる木は枝を上にさして正しく生ひたれども、水にうつる影は梢をさかさまにして互に相違せり。水と木とは相生、中よしと聞けども、映る影は向背して見ゆ。時(shí)すでにたそがれになれば、夜の宿をとひて池田の宿に泊る。




      一〇 池田より菊川

       十二日、池田を立ちて、くらぐら行けば、林野は皆同樣なれども、ところどころ道ことなれば、見るに從ひてめづらしく、天中川を渡れば、大河にて水の面三町あれば舟にて渡る。水早く、波さかしくて、棹もえさし得ねば、大きなるえぶりを以て橫さまに水をかきて渡る。かの王覇が忠にあらざれば、呼他河、氷むすぶべきにあらず、張博望が牛漢の波にさかのぼりけん浮木の船、かくやと覺えて、

      よしさらば身を浮木にて渡りなん
      天つみそらの中川の水

       上野の原を一里ばかり過(guò)ぐれば、千草萬(wàn)草、露の色なほ殘り、野煙風(fēng)音また弱し。あはれ同じくは、これ秋の旅にてあれな。

      夏草はまだうら若き色ながら
      秋にさきだつ野邊のおもかげ

       山口といふ今宿をすぐれば、路は舊によりて通ぜり。野原を跡にし、里村を先にし、うちかへうちかへ過(guò)ぎゆけば、事任といふ社に參詣す。本地をば我しらず、佛陀にぞいますらん、薩 [8] にもいますらん、中丹をば神必ず憐れみ給ふべし。今身もおだやかに、後身もおだやかに、杉の群立は三輪の山にあらずとも、戀しくは訪ひても參らん、願(yuàn)はくはただ畢竟空寂の法味を納受して、眞實(shí)不虛の感應(yīng)を垂れ給へ。

      思ふことのままに葉へよ杉立てる
      神のちかひのしるしをも見ん

       社のうしろの小河を渡れば、小夜の中山にかかる。この山口を暫くのぼれば、左も深き谷、右も深き谷、一峯に長(zhǎng)き路は堤の上に似たり。兩谷の梢を目の下に見て、群鳥の囀りを足の下に聞く。谷の兩片はまだ山高し。この間を過(guò)ぐれば中山とは見えたり。山は昔の山、九折の道、舊きが如し。梢は新たなる梢、千條の緑、皆淺し。この處は、その名殊に聞えつる處なれば、一時(shí)の程に、ももたび立留まつて打眺め行けば、秦蓋の雨の音は、ぬれずして耳を洗ひ、商絃の風(fēng)のひびきは、色あらずして身にしむ。

      分けのぼるさやの中山なかなかに
      越えてなごりぞ苦しかりける

       時(shí)に鴇馬蹄つかれて日翅さがりぬれば、草命を養(yǎng)はんが爲(wèi)に菊川の宿にとどまりぬ。ある家の柱に、中御門中納言(宗行卿)かく書きつけられたり。

      彼の南陽(yáng)縣の菊水、下流を汲んで齡を延ぶ、此の東海道の菊河、西涯に宿りて命を全くせんことを。

      まことにあはれにこそ覺ゆれ。その身、累葉のかしこき枝に生れ、その官は黃門の高き階に昇る。雲(yún)上の月の前には、玉の冠、光を交へ、仙洞の花の下には、錦の袖、色を爭(zhēng)ふ。才、身に足り、榮、分に餘りて、時(shí)の花と匂ひしかば、人それをかざして、近きも從ひ遠(yuǎn)きも靡き、かかるうき目をみんとは思ひやはよるべき。さてもあさましや承久三年六月中旬、天下、風(fēng)あれて、海內(nèi)、波さかへりき。鬪亂の亂將は花域より飛びて合戰(zhàn)の戰(zhàn)士は夷國(guó)より戰(zhàn)ふ。暴雷、雲(yún)を響かして、日月、光を覆はれ、軍虜、地を動(dòng)かして、弓劔、威を振ふ。その間、萬(wàn)歳の山の聲、風(fēng)忘れて枝を鳴らし、一清の河の色、波あやまつて濁りを立つ。茨山汾水の源流、高く流れて、遙かに西海の西に下り、卿相羽林の花の族、落ちて遠(yuǎn)く束關(guān)の東に散りぬ。これのみにあらず、別離宮の月光、ところどころにうつりぬ。雲(yún)井を隔てて旅の空に住み、鷄籠山の竹聲、かたがたに憂へたり。風(fēng)、便りを絶えて外土にさまよふ。夢(mèng)かうつつか、昔も未だ聞かず。錦帳玉 [9] たうの床は主を失ひて武客の宿となり、麗水蜀川の貢は、數(shù)を盡して邊民の財(cái)となりき。夜晝に戯れて衿を重ねし鴛鴦は、千歳比翼の契、生きながら絶え、朝夕に敬ひて袖を收めし童僕も、多年知恩の志、思ひながら忘れぬ。げに會(huì)者定離の習(xí)ひ、目の前に見ゆ。剎利も首陀も變らぬ奈落の底の有樣、今は哀れにこそ覺ゆれ。今は歎くとも助くべき人もなし。涙を先だてて心よわく打出でぬ。その身に從ふ者は甲冑のつはもの、心を一騎の客にかく。その目に立つ者は劔戟の刄、魂を寸神の胸に消す。せめて命の惜しさに、かく書きつけられけむこそ、するすみならぬ袖の上もあらはれぬべく覺ゆれ。

      心あらばさぞなあはれとみづくきの

      あとかきわくる宿の旅人




      一一 菊川より手越

       妙井の渡りといふ處の野原をすぐ。仲呂の節(jié)に當(dāng)りて、小暑の氣、やうやう催せども、未だ納涼の心ならねば手にはむすばず。

      夏ふかき清水なりせば駒とめて
      しばし涼まん日はくれなまし

       播豆藏の宿をすぎて大井川を渡る。この川は中に渡り多く、水またさかし。流を越え島を隔てて、瀬々、かたがたに分れたり。この道を二三里ゆけば、四望かすかにして遠(yuǎn)情おさへがたし。時(shí)に水風(fēng)例よりもたけりて、白砂、霧の如くに立つ。笠を傾けて駿河の國(guó)に移りぬ。前島をすぐるに波は立たねど、藤枝の市を通れば花は咲きかかりたり。

      前島の市には波のあともなし
      みな藤枝の花にかへつつ

       岡部の里をすぎて遙かに行けば宇津の山にかかる。この山は、山の中に愛するたくみの削りなせる山なり。碧巖の下には砂長(zhǎng)うして巖を立て、翠嶺の上には葉落ちてつちくれをつく。肢を背に負(fù)ひ、面を胸に抱きて漸くに登れば、汗、肩袒の膚に流れて、單衣おもしといへども、懷中の扇を手に動(dòng)かして微風(fēng)の扶持可なり。かくて森々たる林を分けて、峨々たる峯を越ゆれば、貴名の譽(yù)れはこの山に高し。おほかた遠(yuǎn)近の木立に心もわけられて、一方ならぬ感望に思ひ亂れてすぐれば、朝雲(yún)、峯くらし、虎、李將軍が住みかを去り、暮風(fēng)、谷寒し、鶴、鄭太尉が跡に住む。既にして赤羽西に飛ぶ。目に遮るものは檜原、槇の葉、老の力ここに疲れたり。足に任するものは、苔の巖根、蔦の下路、嶮難に堪へず。暫く打休めば、修行者一兩客、繩床、そばに立てて又休む。

      立ちかへる宇津の山臥ことづてん
      みやこ戀ひつつひとり越えきと

       行く行く思へば、過(guò)ぎ來(lái)ぬるこのあひだの山河は、夢(mèng)に見つるか、うつつに見つるか。昨日とやいはん、今日とやいはん、昔を今と思へば我が身老いたり、今を昔と思へば我が心若し。古今を隔つるものは我が心の中懷なり。生死涅般、猶如昨夢(mèng)といへるも、あはれにこそ覺ゆれ。昨日すぎにし跡は今日の夢(mèng)となり、今日ここを過(guò)ぐる、明日いづれの處にして今は昨日といはん。誠(chéng)にこれ、過(guò)ぎぬる方の歳月を、夢(mèng)より夢(mèng)に移りぬ。昨日今日の山路は、雲(yún)より雲(yún)に入る。

      あすや又きのふの雲(yún)におどろかん
      今日はうつつのうつの山ごえ

       手越の宿に泊りて足を休む。

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